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 晴天    the prince of tennis : Tezuka×Fuji  再録:2007.08.10
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 ドコまでも青く、雲ひとつ無い風の強い日だった。
 
 
 中学1年の10月7日。
 
 
 忘れもしない、衝撃の出来事。
 
 思い出せば今も、歯痒いような、歯が浮きそうな微笑がこぼれる。
 
 
 幸せな青春の1ページ。
 
 そんな出来事。
 
 約1週間後の10月7日は手塚の誕生日だ。
 
 この頃の僕たちはまだお互いの気持ちを確認してなくて、当然、付き合ってもいなかった。
 ボクから告白しようかとか考えたのだが、断られたらどうしようってそればっかりで、なかなか始めの一歩が踏み出せずにいた。
 
 だからせめて誕生日プレゼント位は出来れば手塚の欲しいモノをあげたいと思って、当時手塚と一番仲の良かった大石に欲しい物を聞いてもらうことにしたんだ。
 
 チラッ
 
 大石を盗み見る。
 
 いつ話しかけようか、ドキドキしながら様子を伺う。
 2・3日たっても中々話しかけられずにいて、もういい加減きかなくちゃって思って、やっとの思いで大石を呼び出して聞き出すお願いが出来たのが10月4日。
 
 手塚と二人で居るところを呼び出しちゃったから気づいちゃったかな!?
 
 どうだろう!?
 
 10月6日にボクはもう一度大石を呼び出した。
 
 例によって手塚の目の前で。
 
 なんだか睨まれているような気がするのは気のせいだろうか。
 ボクって本当は嫌われているんだろうか!?と哀しくなってみる。
 
 「で、聞いてもらえたかな!?大石」
 藁にも縋る思いで聞いてみる。
 
 「ごめんな…不二」
 大石の表情は、みるみる内に曇って、本当にすまなそうな顔になった。
 
 どうやらボクが頼んだ直後から、手塚に無視されているようだ。
 ただ大石の質問にはことごとく答えないだけで、なにか深く考え込んでいるだけのように見えるそうだが。
 
 何を考えているんだ!!!手塚!!!
 とボクが思ったのはいうまでもない。
 
 明日はもう、手塚の誕生日だ。
 明日直接聞くしかないのだろうか。
 泣きたいかも。
 
 イロイロ思いをめぐらせていると、今まで大石と二人きりだった部室に手塚が入ってきた。
 不穏な空気が漂う。
 
 「………………」
 
 「じゃ…じゃあ俺、先に帰るよ」
 ボク達二人を見て直立不動なまま動かない手塚をみて、大石が慌てて部室を出て行く。
 
 「………………」
 手塚はまだ動かない。
 ボクはなんとかこの変な空気を変えたくて手塚に話しかけた。
 「ね、手塚。明日手塚の誕生日でしょ!?何が欲しい!?」
 今まで聞けなかったのは嘘みたいに言ってしまった。
 言えなくて悩んでたのがバカみたいに。
 
 やがて考え込んでいたかのように見えた手塚が重い口を開く…。
 
 「………お前…」
 
 「………………」
はぁ!!!?????
 ボクが唖然としてしまって立ち尽くしている間に、手塚は何も言わず部室を出て行ってしまった。
 
 欲しい物…お前。
 つまり、ボク!?
 手塚の言っている意味が全然わからなくって頭の中が真っ白くなった。
 
 最初から整頓して考え直す。
 だが、何回考え直しても同じ答えに行き着くのだ。
 手塚がボクを『好き』ってこと!?
 嘘!?
 だまされてるの!?ボク!?
 
 全ては明日だ、明日。
 明日もう一度聞こう。
 
 結果は手塚の言った通りの意味で。
 ボク達は思いが通じたワケだけど。
 
 大石が無視されたワケは、あんまりチラチラ大石を見てるから、ボクが大石を好きなのかと思ってしまったワケで。
 呼び出しは告白。
 二度目の呼び出しは返事。
 思いっきり手塚の勘違いでやきもち妬いてただけで。
 でもまぁ、そのおかげで手塚が動いたんだけどね。
 
 大石様さまかもしれない。
 
 と、いうわけで、毎年10月7日は手塚の誕生日でもあり、付き合いだした記念日でもある。
 輝かしい青春の1ページ。
 
 あぁ、今日も空は青い。
 
 
 
 〜fin〜
 
 
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