「不二は何でサボテンが好きなんだ?」
部活中に手塚がふと問い掛ける。
「何?イキナリ?」
ちょっと驚いてボクは逆に聞いてみた。
「イヤ、植物が好きなら花とかの方が綺麗だとかあるんじゃないかと思ってな…」
手塚は少し照れたように答えてくれた。
今日はやけに素直だな。
素直に答える手塚なんて、滅多に拝めないよ♪
教えてあげるか、誰にも言わない、ボクの本音。
「花はね…花は散っちゃうからイヤなんだ」
少し俯き加減につぶやいた。
「期間限定だからあんなに綺麗なんだよ。それが少し切なくて…」
サボテンは花咲かない種類の方が多いしね。
あまり構わなくても大丈夫だから…。
「不二…」
手塚がイキナリボクを抱きしめてきた。
部活中だよ?
あわてて周りを見回した。
みんな見て見ない振りをしてくれてるみたいだ…。
「不二…淋しいのか?」
………!
とんでもない!
ボクはプルプル首を振り、手塚を見上げた。
心配そうな顔をして、ボクを見ている。
少し嬉しくなって手塚の耳元で囁いた。
「ボクには手塚がいてくれるから大丈夫だよ」
手塚の頬がみるみるうちに赤くなっていく。
心配無用♪
ボクはキミがいてくれれば大丈夫。
怖い物なんて何もないんだから…。
〜fin〜
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