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 朝のテニスコート。
 部員も殆ど集まり雑談をしながら軽く打ち合っている。
 
 ザワザワしたコート内が突然静かになった。
 レギュラー陣のお出ましだ。
 一人、二人…。
 「おはよ☆越前」
 「ウィっす」
 挨拶をかわしていく。
 
 最後に手塚部長。そして、その後ろには…不二周助。
 
 視線が釘付けになる。
 目が合ったと思うだけで、身体が熱くなる…。
 
 あぁ、何で、何でアナタは部長の恋人なんだ…。
 多分それは部員の中で俺だけが気づいてしまった真実。
 いつも、いつもセンパイを見ていたから…。
 
 不二センパイ…。
 
 「おはよう」
 「おはようvv 越前」
 部長と不二センパイに声をかけられて心臓が飛び出そうだった。
 「おっ、おはようゴザイマス」
 
 俺の前を通り過ぎて、あたりまえと言わんばかりに部長の横へいってしまった。
 
 部長と話している時の不二センパイの笑顔は、俺達に向ける笑顔とは全然違くて、胸が切なくなる。
 あぁ、あと2年だ。
 あと2年早く生れていればこんな事にならなかったのに…。
 
 叶わない願。
 適わない相手。
 
 一度だけ。
 一度だけでもいい。
 不二センパイをこの手に出来るなら。
 
 今すぐ奪いたい。
 不二センパイの横のポジション。
 部長を差し置いて。
 
 でも、それは適わない『願い』。
 
 不二センパイの哀しむ顔を見たくないから。
 
 
 
 
 〜fin〜
 
 
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