First contact    the prince of tennis : Tezuka×Fuji  再録:2007.08.13
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あの時からだろう。
いつから想ってくれているという問いに答えるとしたら。

手塚は透き通るような白い不二の肌に口付けながら考える。


…あの時からだろう。

1年の終わり頃。不二が完成したばかりのカウンターを試したい、と、手合わせを依頼してきた。
それまで一度も話をした事がなかったから、突然の依頼に驚いたが、その頃の俺は負け知らずで、妙な自信に満ち溢れていたので簡単にOKした。

自分に勝つ者はいない。自分が一番強い。
そう考えると、中学の部活動、ましてや殆どが初心者というだけで、俺は相手にしなかった。だから友達もいなかった。上級生とも仲良くなかった。

かわって不二は友達も多く上級生とも上手くやっていたようだ。

俺に挑んだ事を後悔させてやる。
そんな気持ちでコートに赴いた。

コートでは不二が一人で待っていた。
他に誰もいなかった。


そして―誰も見ていない試合で、俺は負けたのだ。


信じられない!
本当に信じられなかった。

そこから俺の今までの世界が音をたてて壊れていく。

最初はライバルとしてだった。
不二が気になって気になって仕方が無かった。
試合の後、口をきくことはなかったが。

俺は変わった。

部活だとバカにすることもなく、妙なプライドも捨てて、友達もできた。

そして2年になって、同じクラスになり、俺も不二もレギュラーになった。

格段に一緒にいる時間が多くなった。
よく話しもするようになった。

かけがえのない『友達』だと思うようになっていた。

しかし、3年になってクラスも別れて離れてみると、『友情』ではないことに気がついた。

それは不二も同じだったらしい。
不二の中でどういう変化があったのかは俺には判らないが。

ある日誰もいなくなった部室で、不二に突然告白された。

「好きだよ」って。

最初投げかけられた言葉に、動揺して理解できなくて困った俺に、不二はキスをした。
「こういう意味でのスキってこと」

「あぁ」
やっとのことで、それだけ答えた。

時は流れて、こうして体を重ねるようなことになっても、俺は一度も不二に言っていない。想いが伝わるような言葉は。何ひとつ。

不二の首筋に痣を残す。俺のものである、という所有の印。

白い胸にキスを降らす。

「っん…」
「て…づかっ」

「あぁっ…」

どうしようもない独占欲が身をもたげる。
不二は意識を手放した。

「手塚…?」
「ん、ああ、寝てしまったようだな」
「ねぇ、ボクの事スキ?」不二が不安げにのぞき込む。

「…………………」

俺は答えない。
何度も繰り返される質問。
「ねぇ、ボクの事スキ?いつから想ってくれてるの?」

俺は答えない。言ってしまったらこの手から不二が消えてしまいそうで…。

「ねぇ…」

まだ何か言いそうな唇を自分のでふさいだ。




〜fin〜

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