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 いつまでも二人なら…終らないと信じたアノ…夏。
 
 アノ日。
 アノ時。
 アノ場所で。
 何か言うことができたら。
 
 俺は。
 不二を手放さずに済んだかもしれない…。
 
 「もうすぐ…夏が終わっちゃうね…」
 「ん?あぁ…」
 夏休みのの終わり、俺の家へ不二が泊りに来て、花火をしていた。
 
 パチパチパチ…
 花火は人を切なくさせる。
 落ち込んだ気持ちが更に澱む。
 
 「手塚ぁ〜」
 不二が俺の肩に頭を預けてきた。
 なんだ、と見てみると、その茶色の瞳には涙が浮かんでいた。
 
 「テニス部続けたかったな…」
 ひどく淋しそうに続ける。
 3年の夏で部活は終る。
 それは避けようのない通過儀礼の様なモノだが。
 少し淋しい気がしないでもない。
 
 花火で切なくなっている上に、不二にそんな顔をされたら、余計切ない。
 俺は黙ってその肩を抱き寄せ、そっと頬にくちづけした。
 
 「元気だせよ…」
 そっとつぶやくと不二は、うん。といって涙まじりに微笑んだ。
 その微笑みがまた妙に切なくて…。
 肩を抱く腕に力を込めて、満天の星の輝く空を見つめた。
 
 いつまでも、いつまでも、そうしていたかった。
 二人で。
 
 このまま時が止まればいいのに…。
 
 誰より俺だけ包み込んでくれた。
 跡部に負けた日、狂いそうな俺を黙って抱きしめていてくれた。
 
 いつも、いつもそうだ。
 悩みを人に言うことのない俺の、気持ちをさっして、黙って何でもしてくれる。
 不安な気持ちを消してくれる…。
 
 不二をこの手に抱き、絶頂のまま、果ててしまいたいと、何度願った事だろう…?
 
 
 
 
 「別れよう」
 
 その言葉を。
 
 その唇から聞くまでは。
 
 
 
 
 
 to be...
 
 
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